BitPlanは、ソフトウェアエージェントやアプリケーションが共通インターフェースから複数の外部AIモデルへアクセスし、個々の推論リクエストをBSVで支払える「AI推論ゲートウェイ」を公開した。
gateway.bitplan.devで提供されるBitPlan Gatewayは新しいAIモデルそのものではない。複数のプロバイダーが提供するAIモデルを一つのアクセス、ルーティング、決済レイヤーから利用するためのサービスである。
通常のウォレット利用では、従来型のサービスアカウントを作成したり、個別のAPIキーを管理したりする必要はない。BRC-100対応ウォレットの公開鍵がサービス上のIDとして機能し、推論ごとにウォレットから支払うか、ゲートウェイ内のクレジットを利用できる。
一つのゲートウェイから複数のAIモデルへ
BitPlan Gatewayでは現在、Anthropic、OpenAI、Google、xAI、DeepSeek、Moonshot AI、Meta、Alibaba、Mistral、Z.ai、MiniMaxなどのプロバイダーによるモデルに加え、画像生成モデルも利用できる。
料金はBSV、サトシ、米ドルで表示され、各プロバイダーのトークン料金を基準としている。
ゲートウェイにはTypeSafe AIのJevも含まれる。Jevは同社が「System One Model」と呼ぶモデルで、主に会話文を生成するのではなく、構造化されていない状態から、ソフトウェアが直接利用できる型付きの確率的判断を返すことを目的としている。
マルチモデル型ゲートウェイの利点は、用途に応じて利用するモデルが変わっても、モデルごとに新たな接続方法や個別の利用契約、課金関係を用意する必要を減らせる点にある。
ウォレット、HTTP 402、AI推論を一つの流れに
BitPlan Gatewayの特徴は、AIモデルへのアクセスと支払いを同じソフトウェア処理の中に組み込んでいる点にある。
一般ユーザーはBRC-100対応ウォレットを接続し、ブラウザ上のプレイグラウンドから利用できる。一方、ソフトウェアエージェントはMCPエンドポイントまたはOpenAI互換APIを通じてアクセスできる。
BitPlanは、Claude Code、Codex、Cursor、OpenCode、Cline、Grok Build、Gemini CLI、Windsurf、Copilot、Zedなどの環境向けに設定方法を案内している。
有料リクエストでは、HTTPステータスコード402 Payment Requiredを利用する。リソースへのアクセスに支払いが必要な場合、サーバーが条件を提示し、クライアント側が支払いを処理したうえで要求を続行する仕組みである。
BitPlanでは、エージェントがゲートウェイトークンへ署名し、接続されたウォレットを通じてHTTP 402の支払いを処理する。
これによって、エージェントが作業を中断して人間を決済画面へ誘導したり、別途アカウントやサブスクリプションの準備を待ったりする必要を減らせる。必要な計算資源へのアクセスと、その利用料金の支払いを、一連のソフトウェア処理として扱えるためである。
x402仕様も、こうしたHTTP 402による機械決済を一般化するため、インターネット通信、決済方式、基盤となる決済ネットワークを分離する設計となっている。
ただし、BitPlanがサービスをx402 · BSVと表記していることは、BSVがすべてのx402 Foundation SDKやリファレンス実装へ組み込まれていることを意味しない。x402は異なるネットワークへ拡張可能な設計であり、それぞれのクライアント、サーバー、ファシリテーター側で対応する決済方式を実装する必要がある。
BitPlanが直接示しているのは、AIエージェントが推論を要求し、その料金をBSVの決済環境で処理した後、モデルの出力を受け取る一連の流れである。
実例で確認された従量決済
公開資料では、Claude Code、Codex、Grok Buildが同じゲートウェイを利用し、Muse Spark 1.3へ推論を要求した実例が示されている。
記録された料金は、Claude Codeのあるセッションで67,408サトシ、Codexで52,992サトシ、Grok Buildで38,369サトシだった。
ただし、各セッションでは消費したトークン数や処理経路が異なるため、これらの数字を各環境の効率比較として扱うことはできない。
重要なのは、個々の推論処理について利用量を測定し、料金を計算し、決済まで完了できる点である。つまり、購入単位を月額サブスクリプションだけではなく、個々の計算処理そのものへ結び付けることができる。
MCPとOpenAI互換API
BitPlan Gatewayは、エージェント環境向けにMCPエンドポイントを、既存のAIアプリケーション向けにはOpenAI互換APIを提供している。
MCPではモデル検索、チャット、画像生成、クレジット管理などを扱い、有料リクエストが発生した場合にはHTTP 402決済を処理する。
これにより、アプリケーション本体へ組み込むBSV固有の処理を減らし、開発者はモデル選択や推論処理を中心に設計できる。
また、開発者自身が保有するモデルプロバイダーのAPI認証情報を利用することもできる。BitPlanによると、共通インターフェースを維持したまま、ゲートウェイ料金を抑えることが可能になる。
BitPlan Gatewayは、決済ゲートウェイであると同時に、複数のAIモデルを一つの窓口から利用するためのルーティングレイヤーとしても機能する。
エージェントによる情報保存から計算資源購入へ
BitPlanは以前、AIエージェント向けに暗号化・バージョン管理された計画文書を扱うサービスを公開している。
そこではBRC-100ウォレットを暗号化と公開に利用し、暗号化された計画文書をBSVブロックチェーン上のバージョン管理された1Sat Ordinalとして保存できる。
従来のBitPlanがエージェントの作業情報を保存・共有する仕組みだとすれば、BitPlan Gatewayは、エージェントが外部の計算資源を購入するための仕組みである。
両者を合わせると、ウォレットの役割は単にフィートークンを保持することにとどまらない。ソフトウェアに対して、ID、認可、暗号化、決済といった機能を提供する基盤として利用できる。
BSVによるAI推論決済の展開
今回の公開は、BSVKeyによるBSV決済のAI推論サービスに続く動きでもある。
BSVKeyのInference MCPは9月8日時点で公式MCP Registryに掲載されており、ClaudeやGrokへのアクセスについて、プリペイド方式とリクエストごとのHTTP 402決済方式を提供していた。
両者とも、AIエージェントがモデル推論を利用し、そのサービス要求の下層でBSVによる支払いを処理できることを示しているが、重点は異なる。
BSVKeyが専用のInference MCPとHTTP 402コールによって機械決済そのものを明確に示したのに対し、BitPlan Gatewayは、多数のモデル、MCP、OpenAI互換API、ブラウザ上のプレイグラウンド、ウォレットを基盤としたサービスIDを一つのアクセスレイヤーへまとめている。
焦点は、「一つのAI推論をBSVで購入できるか」から、「複数のAIサービスを横断する計算資源市場の下で、BSV決済レイヤーが機能できるか」へ広がっている。
編集者の見方
BitPlan Gatewayで注目すべきなのは、BSVで支払えるAIサービスが一つ増えたことだけではない。決済が、ソフトウェアそのものの動作へ組み込まれ始めている点である。
現在、多くのAIエージェントは、人間が事前に用意した経済環境の中で動作している。人間がプロバイダーのアカウントを作り、決済手段やAPIキーを設定し、その後でエージェントが用意された資源を利用する。
HTTP 402を利用すると、ソフトウェアは必要になった時点で価格の付いたリソースに到達し、認可された決済能力があれば、その購入までを作業の一工程として処理できる。
BitPlan Gatewayが複数のAIモデルを同じアクセス・決済レイヤーの後ろに置く意味はここにある。一つのエージェントが、複雑な推論、低コストの分類、構造化された判断、画像生成など、用途に応じて異なるモデルを選択できる。
モデルごとに別のアカウント、決済方法、APIキーを管理する必要があれば、自律型ソフトウェアにとって大きな摩擦となる。共通ゲートウェイを使えば、エージェント側の問いを「どの計算資源が必要か、費用はいくらか、そして購入する権限があるか」という形へ近づけることができる。
この構造の中で、BSVトークンは、ソフトウェアが必要なサービスを取得するためのフィートークンとして機能する。
BitPlan Gatewayはまだ新しいサービスであり、利用可能な多数のAIモデルを、各プロバイダーとBitPlanとの直接提携や、それらの企業によるBSVへのネイティブ対応と捉えるべきではない。
それでも、Claude Code、Codex、Grok Buildが同じゲートウェイを通じて推論を要求し、料金を受け取り、BSVで資金提供された残高から処理を完了する実例は示されている。
利用するAIモデルが変わっても、エージェント側のアクセスと支払いの仕組みはほぼ同じまま維持できる。
決済は、アプリケーションに後から追加される機能ではなく、ソフトウェアが別のソフトウェアへアクセスする仕組みの一部になり始めている。
参照リンク
BitPlan — 暗号化・バージョン管理されたエージェント計画文書
TypeSafe AI — System One ModelsとJevの紹介
※本記事は、原記事発行元であるBSVタイムズの使用許諾を得て、記事を要約・翻訳・編集しています。
2026年9月17日(BSVタイムズ初発行)
