ビットコイン論1「イントロダクション」―ライト博士 x Mr. チャールズ|1. Introduction - Theory of Bitcoin / Dr. Craig S. Wright & Ryan X. Charles
Theory of Bitcoin - Dr. Craig S. Wright & Ryan X. Charles
0:00 – 6:10
RXC: それでは、こちらはクレイグSライト博士です。ビットコイン発明者であり、nチェーン社チーフサイエンティストです。私はライアン・チャールズ、マネーボタン創設者です。
クレイグ、年初に連絡頂きまして、その際の正確な言葉は思い出せませんが、確か他の99%の理解につなげたいなどとおっしゃっていましたね。オーバーレイネットワークや、その他さまざまなことについて話しました。その時の会話を、私がインタビューする形でシリーズ化したら面白いかもしれないとのことでした。ビットコインに対する理解や、暗号通貨界にある誤解等について、我々の会話を公開することで、人々が理解を深めることに役立てたいと願っています。
一応こんなところですが、私のほうは質問等の準備ができています。先に何かイントロ等ございますか。
CSW: ええ、そうですね、まず最初に「暗号通貨(クリプトーカーレンシー)」といった表現は避けましょう。
ビットコインは特に「通貨」ではありませんし... まぁ、そういう見方もあるかもしれません。また部分的に通貨へ何らかのソリューションを提供できるかもしれませんが、「通貨」とは通用貨幣であり、法的専門用語です。そして、それ自体が「お金(マネー)」を意味するものではありません。ビットコインは電子キャッシュとして設計されたトークンシステムで、通貨とはやや異なる存在です。
また「暗号(クリプトー)」ではありません。いかなる面においても暗号化されていません。暗号化したファイルなどをトランザクションに押し込むこともできるかもしれませんが、それはビットコインを使ってなし得ることであって、それ自体がビットコインではありません。
RXC: そうですね。それらは理解できます。この世界に関わっている人々は、暗号通貨業界(クリプトーカーレンシーインダストリー)などといった表現を用いますが、我々は、我々が進めているものを「ビットコイン」と呼んでいます。
どうしてそのようなことになってしまったのでしょう。発足当初から今もなお、ビットコインについて様々な誤った情報が流され続けています。このような状況はどのように発生したのでしょう。
CSW: ええ、いくつかのことが同時に起こったと言えると思います。ちょうどビットコインが始まるのと時を同じくして、Eゴールドの崩壊がありました。ダークウェッブ、地下サイトの利用者が集団で流れ込みました。他にもあり、リバティリザーブドルなどもそうです。
そうした人々が、ビットコインはアノニマス使用を目的にデザインされ、いかなる者も手を出すことができないなどと吹聴を始めました。
また2011年の2月ごろ、ウィキリークスの後、ビットコインは監視をかわすツールといってエレクトリック・フロンティア・ファンデーションなどが集団で押し寄せました。これらが始まりの部分で、それらはみな誤解です。
その後、彼らは自らの主張にビットコインが合うよう変更を加えようとしました。誤解に対し、誤りを正す努力をせず、逆に自らの誤った認識に合致するよう変更を加えたのです。
RXC: それらの人々はどこから現れたのでしょうか。もともとそうしたムーブメントが存在したのでしょうか。それとも新たにそうしたことを目的に押し寄せたのか、あるいは単に誤解から始まったものでしょうか。
CSW: 彼らはまさにそうした目的をもって流れ込んできました。もともとEゴールドは存在していました。金融犯罪や脅迫メール等、少額のマネーロンダリングに使われていて、ビットコインもまたそういうもののために誕生したと発信してきた人々です。
ビットコインは純粋にマイクロペイメントシステムです。彼らが発しているような、世界通貨として置き換わるなどといったことはありません。世界的な何とか、ユニバーサルな何とかになるほど、十分なビットコインは存在しません。
RXC: なるほど。前段に戻り伺いたいのですが、なぜビットコインを創ったのかなどについてお話しください。
CSW: 大もとは、デジタルマネー、電子キャッシュといったものが必要だというところからです。そうですね、25年ほど遡って見てみると、インターネットの大きな問題は常に「決済手段」に欠けていたことです。
クレジットカード決済などが始まると、不正使用等のセキュリティ上の大問題に直面しました。そしてビザやマスターカードなどがさまざまなソリューションを模索しますが、高コストゆえ、支払金額に制限を設けるなどして対応しています。ですが結局、どの企業も(誰も)マイクロペイメントを実現するにいたりませんでした。
どれだけ大きな市場になるかということはともかく、IoTの世界に目を向ければ、インターネット上で稼働する工業機器や設備間で、1セントの数分の一の、さらに数分の一といった極めて小さな額の決済手段が必要とされます。それは一杯のコーヒーに支払われる小額決済というレベルではありません。リアルタイムでアップデートをこなし、瞬時に決済を行うことが可能なシステムです。またそれは、決して「価値の保存」といったものでもありません。
我々は、例えばグーグルの広告モデルをどう置き換えることができるかなどと考えてみるべきです。グーグルは当初から今の広告モデルを構築しようとしていたわけではありません。フェイスブックもそうです。モットーであった「悪の道に進むな(その必要はない)」を捨てて悪へと陥ったのは、結局それ以外に進む道がなかったからに他なりません。
7:55 – 9:23
RXC: (ビットコインは)最終的にワールドマネーを目指しているのでしょうか。あるいは支払いに用いる単位、それともトークンシステムなどでしょうか。
CSW: ええ、トークンシステムと言えるでしょう。
ただ、またそこに人々の誤認識があります。デジタルゴールドに置き換わるとか、そんなことはありません。世界のどの国も、自国通貨のコントロールを維持しようとします。みなが好もうと好まざると関係なく、現実は、アメリカ政府は「税を米ドルで納めなさい」と言い、またヨーロッパでは税をユーロで納めなくてはならないというように、各国は自国通貨へのコントロールを持ち続けるわけです。
ビットコインがあるからと言って法定通貨に取って代わるだとか、税を収めなくていいだとか、そんなことがあるはずもありません。それは麻薬夢想(パイプドリーム)というものです。
ただ、実際にビットコインにできることは、自動化、簡素化です。私は小規模なビジネスを始めとする様々なコンサルタントを行っていますが、消費税などの分野には特質して有益です。
仕分け等に役立つとかではなく、不正を減らすことにつながり、またリアルタイムの納税、還付等、(複雑な)政府とのやり取りを自動的かつシームレスに行うなど、非常に効果的です。
1:33:53 – 1:39:20 ※以下、部分的に「脇」の解説等を省略しています。
RXC: では「お金の創造」についてですが、新たな形のお金を創造する法的意味合いは何でしょうか。ビットコインは法的なお金と考えることができるでしょうか。
CSW: ビットコインはお金(マネー)ですが、商品資産(コモディティプロパティ)です。
私が発行者で、エラーの部分を除く全2,100万のビットコインが最初のバージョンで創られました。当初よりトークン全数が存在します。マイニングによってその都度創られるわけではなく、それらは「分配」されるものです。
敢えて、分配(ディストリビューテッド)という単語を使用するには意味があり、それは発行(イシュー)とは異なります。「発行」は一まとめに始めるものを指します。ただ(暗号界の)人々はそうは言いませんね。彼らはマイナーの役割に対する表現を意図的に変更しています。
マイナーはビットコインを創造しません。既に創造済のビットコインで支払いを受けているに留まります。
(暗号界の)人々は「サトシは大量ビットコインをリザーブしている」などと言います。ただ、それを言うなら、私はある時点において全2,100万ビットコインを持っていたわけです。それ以上の数を設定することだってできました。ここにまた彼らの誤った吹聴があります。
すべて表に出し、誰かが裏でリザーブを抱えているようなことがなければ問題はありません。当初から、私は創造した全ビットコインを解放する選択をしています。私が所有するビットコインは、すべて自らマイニングして獲得したものか、後に購入したものです。2,100万ビットコインを設定し、片務契約をもって「皆さん、どうぞご自由にお取りください」と始めたのです。
無価値で創造し、それら全てを無料開放することは「証券詐欺」に該当しません。「ここにビットコインを取に来てください」などとプロモーションをかけているわけではありません。私が始めたことは「よければコンピュータを稼働させてみてください。(獲得するビットコインがいつか)価値のあるものになるかもしれません」ということです。
