クレイグ・ライト x スティーヴ・キーン|Economics... And More! With Steve Keen and Craig Wright - Metanet TV


クレイグ・ライト vs スティーヴ・キーン=対話
BSVJ: 抜粋・意訳


キーン教授: それでビットコインですが、もう少し踏み込んで話しましょう。

ライト博士: ええ、喜んで。

キーン: 私がビットコインに懐疑的なのはご存知だと思いますが、主な理由は、ビットコインの一部デザイン要素にあります。

銀行の信用できない帳簿・記録等を理由に、銀行を迂回することなどを議論しています。

確かに、銀行は一部ではそういうこともあるかもしれませんが、全体的には問題ないと私は考えています。

2012年にオーストラリアの銀行でもスキャンダルがありましたよね。大量の記録紛失で揺れました。でも基本的にはそれ一回ぐらいです。

ここまでの銀行の問題は、資産バブルを誘発する無責任な貸付であって、ビットコインはそうした問題に対する解決策を一切示していません。

それと、間違っていれば正して頂ければと思いますが、ビットコインは極わずかな送金量しかこなすことができません。

よって価値保存機能についてはともかく、世界で行われているレベルの送金量をこなすことができなければ、決して取引の仲介役としてのお金にはなり得ません。

ライト: スケーリングですが、キッチリと行えばビットコインは実在するいかなるシステムよりも10億倍効率的です。

ビザ、マスターカード、銀行送金すべてを合わせたものより効率的です。

キーン: では(それが実現していないのは)、どこで間違ったのでしょう。
ライト: 残念なことに、作為的に蓋をして希少性を掲げ、典型的な経済的誤謬が展開されています。人々はそうしたことを植え付けられてここまできています。

さらに、各国政府をビットコインから遠ざけ、地上のすべての人々がビットコインを持つようになれば、携帯やラズベリーで自前のノード運営ができるようになるといった、まさに正反対の議論が進められてきました。

2008年、ビットコイン発足を前に、ジェームズ・ドナルド※と議論を交わした中で、私にはどうしてもアナーコ・キャピタリスト(無政府資本主義者)の考えが理解できませんでした。それらが何をどうやって(無政府で)形あるものを構築するのか...

※サトシと最初に討論したとされるサイファーパンク

当時(時を同じくして)住宅バブルの崩壊等がありましたが、ビットコイン発足はそれ以前です。

そして(ウォールストリート)占拠民が「銀行業を終わらせる」などと奮闘していた時期に重なりました。しかし、ビットコインは銀行システムや債券(国債)等々の利用を阻むものではありません。

本来、銀行システムの何が間違っていたのかにフォーカスするべきなのに、先のティム・メイ※の話しにつながりますが、「自身でノードを立て、自前のコインをもつことで、誰もが金融的束縛から解放され、それこそが我々を待つ新世界の形なのだ」などといったことをパッケージにして人々に売り込みました。そうしたことは、今もなお続けられています。

※インテル初期のエンジニア、後の暗号界無政府主義発案者

ビットコインは「不変の台帳」=イミュータブル・レッジャーであり、また追跡システムであり、私の見識では・・・(書物※を手に取り)私はこういう本を読んでいますが、法の上では、お金の創造には追跡性が要求されます。よってアノニマスのお金など成立しません。みなその部分で間違えているのです。

※マーン・オン・ザ・リーガル・アスペクト・オブ・マネー/オックスフォード大

残念ながら(ビットコインの)コンセプト、全体像が乗っ取られてしまい、ちょうどビットコイン発足時に犯罪者がつくったEゴールドが崩壊し、そのグループがそのままビットコインに流れ込み、さらにリバティー・リザーブも崩壊し、そのグループもまたビットコインに流れ込み、「口座を必要としないビットコインはアノニマスだ」などと発信しているのです。

私は当時から一貫して「違う、スードノマス(仮名)だ」と言い続けています。

(ビットコインの使用では)教授と私は互いに個々を識別できますが、公には誰も我々が誰かを識別することはできません。でも公けは我々が誰かを知ることなく(我々を)追跡し、(我々のトランザクション)を検証できます。

キーン: それで先の「何が間違ったのか」の部分ですが、実際のトランザクション数は如何ほどですか。TPS(秒あたりのトランザクション数)はいくつでしょうか。

ライト: 今この時点では、数千のTPSを支えることができます。

キーン: 私がBTCを見る範囲ではTPS7に留まっていますが。

ライト: 先に述べた通り、BTCはビットコインではありません。またそれは技術的な限界ではなく、意図的に設けられている上限です。

私が現在取り組んでいるのはオリジナル・プロトコルのほうです。2月にアップグレード等を通じてソフトの効率化を図ります。

既にテストネット上などで実証済みで、7万から15万ほどのTPSが持続可能です。

ここからパラレル・コーディングの導入やテラ・ノードのテストを経て、23百万TPSを実現できるはずです。

キーン: それならマネーとしては十分なキャパだ。

ライト: はい。ですが残念なことに、データセンターの存在や大企業がビジネスとして正式に参入することを(暗号界の)人々は敬遠しています。

そこは(マイナーの)競争が激しくなる部分で、まさに互いに背後から刺し合うような熾烈な戦いになります。

競争相手のエラーを探し出し、それを吊り上げることにインセンティブが働くのがビットコインというゲームなのだと認識しなくてはなりません。

要はコンセプトとして、貪欲な大企業の参入による経済活動上の競争が、結果的にはほどよく機能するわけです。

キーン: 彼らにはどのような収入が?トランザクションベースでしょうか?

ライト: ええ、トランザクションベースです。トランザクション数が多いほど収入が増加します。

そこにはEDI(電子データ交換)も含まれ、SWIFTやクレジットカードも正確かつ安全に機能します。

例えば私の特許では、ビザカードなどのトランザクションをミリ秒へとスピードアップさせることができます。

また、世界のどこか離れたところで不自然な利用が行われようとした際に、携帯に「このトランザクションを承認しますか」などと言ったメッセージがリアルタイムで届き、その場で「イエスorノー」による制御を行うこともできるようになります。

キーン: それらはみな2月ぐらいに可能になるのでしょうか。

ライト: BSVは既に存在します。今も数千TPSは持続可能で、それはより多くのマシンでさらなる効率化が実現可能なところまで来ていますので、あとはソフト面での効率化を達成したいところです。
訳:BSVJ